未成年者に対しては、親権が及びます。親権とは親が子供を監護教育する権利（ないし義務、「身上監護権」といいます）、子供の財産を管理する権利（ないし義務、「財産管理権」といいます）の二つを内容としています。ここで権利といっていますが、第三者との関係では権利と言えますが、子供に対しては義務ないしは社会的な責務だと捉えられています。つまり第三者が子供を連れ去って返してくれない、という場合には身上監護権という権利の侵害ということになりますが、子供との関係においては親の権利として勝手気ままが許されるのではなく、子の利益や福祉のために行使されなければならないという義務を負っていると考えられています。さて、このケースにおいて問題となるのは、子供が異性と付き合うことについて、親権、具体的には身上監護権が及ぶか、という点です。これについては、前述の通り、親の支配権としての親権ではなく、子の福祉の観点からの身上監護義務という点から、単に親がその異性を気に入らないからという理由ではなく、その子供にとってその異性と付き合うことが教育上好ましくない、子供の成長にとって害がある、というような理由がある場合には、子供が異性と付き合うことに対して異議を唱えたり懲戒したりすることが出来る、と考えられます。ただこの判断をすることは実際には極めて難しいものと考えられます。親と子という関係から、親の行為がどこからみても理不尽だ、というような場合でないと、親権の濫用だとは言えないと思われます。但し、彼女はもう17歳になっているわけですから、例えば彼女が自分の意思であなたと付き合うことを選択し、親の制止を振り切ってあなたの元へ来たような場合であれば、あなたは彼女の親の親権を侵害しているとは言えないと思われます。つまり、少なくとも彼女が自分の意思であなたとお付き合いしているのであれば、彼女の親の同意がないお付き合いが違法だとは言えないと考えられます。なお、未成年者が結婚するためには、親の同意が必要です。結婚となるとやはりそれに耐えうる能力が子供に備わっているかどうかが問題となりますので、親が判断して大丈夫だということでなければ結婚は出来ないことになっています。

執筆日20040422