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夫婦生活・離婚・養育費

親権者指定の基準について

 私と妻とは、離婚することについて合意がありますが、小学生の2人の子たちの親権を巡って調整がつきませんでした。家庭裁判所で調停がなされましたが、この席でも話し合いがつかず、結局、調停に代わる審判がなされることになりました。この場合、裁判所が親権者を指定するにあたっての基準はどのようになっているのでしょうか。

 親権者(あるいは監護権者)の決定にあたっては、まず、父母のどちらを親権者として指定することが、子にとっての利益にかなうかという観点が大前提になります。その場合に考慮される要素としては、親の監護能力、家庭環境、居住教育環境、愛情の程度、監護実績、実家の資産、援助の可否、子の年齢、性別、心身の発育状況、従来の環境への適応状況、子の意向、父母との結びつきなどがあるとされています。例えば、別居中の夫婦が離婚する場合、子はどちらか一方が手元で養育しているケースが多いと思われます。そして、そのような状況について子の利益に反しているような特段の問題がなかった場合、離婚に際する親権者もそのような現状を尊重して、実際に手元で養育している方を親権者とする傾向が強いと言えます。特に子がある程度大きくなっている場合は、環境の変化が子に与える影響が一層重視され、この傾向は強まる者と考えられています。また、乳幼児の場合、どうしても、身の回りの世話については母が適しているとの判断がなされがちであり、母が親権者とされるケースが多いようです。また、あなたのように未成熟子が複数いる場合には、父と母とにわけて親権者を定めるという方法もありますが、むしろ、兄弟でともに生活することによる人格形成上の価値を重視して、これを否定するケースが多いようです。確かに、子の頭数で割って、父母それぞれに親権を付与するというやり方は、子の利益という裏付けがありませんので、適当とは言えない場合が多いと思われます。

執筆日20000830