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夫婦生活・離婚・養育費

子を奪われた場合の子の連戻し方法について

 別れた夫が小学生の子を下校途中に連れ去りました。その子は私が親権者となって養育しています。子供を取り返す方法を教えてください。

 これについては家庭裁判所の調停、審判による方法と、人身保護法による方法とが考えられます。まず家庭裁判所の調停、審判ですが、子の引渡し請求の審判ないし調停を家庭裁判所に求めます(民法766条2項、家事審判法9条1項乙類4号)。調停は当事者の合意が必要ですから、話し合いが期待できる場合はこれによってもよいでしょう(話し合いがつかない場合は、そのまま審判手続きに移行します)。審判に際しては、子が連れ去られた状況の不法性と従前の子の養育環境などが考慮され、子の福祉の観点から子の連れ戻しを認めるのが相当とされる場合には、相手方に対して子の引渡命令が出されます。ただ、この方法ですと審判までに少々時間を要することがありますので、審判の申立と同時に、保全処分の申立を行い仮の措置として子の引渡を求めることもできます(家事審判法15条の3)。次に人身保護法による救済手続きですが、これは法の正当な手続きによらないで身体の自由を拘束されている者について、その救済を目的とする非常的な措置です。その申立は誰でも行うことができます(人身保護法2条2項)。ただ、原則として申立は弁護士を代理人として行うことが定められています(同法3条)。この請求は家庭裁判所ではなく、請求者の住所地にある地方裁判所または高等裁判所に行います(同法4条)。この手続きは請求から原則として一週間以内に審問期日が開かれ、迅速な審理、判断がなされます(同法12条4項、6条)。判断は判決によって示され、請求が認められると、直ちに拘束されている者を解放することになります(同法16条3項)。この請求が認められるかどうかは、身体拘束の違法性が顕著であること、子に意思能力がなく、あるいは意思能力がある場合はその意思に反して拘束されていること(判例では意思能力の有無についておおむね10歳を基準としています)、子の連れ去り状況の不当性、請求者が子の親権者であるか否か等を考慮の上、決せられます。

 執筆日20000830