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夫婦生活・離婚・養育費

離婚した夫が会社のお金を横領していた。養育費はどうなる?

 去年離婚した夫が10年前から会社のお金を横領していたことがわかりました。会社から返還を求められているようですが、夫には払えそうもありません。会社が私に請求することはありますか。また、子供の養育費をもらっていますが、今度のことで減額されたりしないですか。

 ご質問の前段についてですが、あなたは元のご主人との離婚後に横領の事実を知ったようですので、横領に荷担したことはあり得ないわけですから、会社に対して損害賠償義務を負うことはありません。したがって、仮に会社が請求してきても、法律上支払う必要はありません。次に、養育費についてですが、離婚の際に調停で金額を取り決めているのでしょうか?あるいは、私的な書面にしてあるのでしょうか?その場合、元のご主人に他にも借金ができたからといって(例えそれが横領のような犯罪によりできた債務であっても)、それだけで、法律上、調停や話し合いによる取り決めが反故になるということは原則としてありません。その意味での養育費の「減額」ということはないわけです。ここで、原則としてと述べたのは、夫妻それぞれの事情の変化により負担に不公平や無理が生じた場合に、子の監護に関する処分(養育費減額)を家庭裁判所に申し立てることで、減額が認められる場合があることによります。が、ご質問のような事情で取り決められた養育費が家庭裁判所によって減額される可能性は低いと思われます。以上に対して、元のご主人が会社に対して大きな負債を負い、これを返済するために、養育費の支払を怠るということは十分にあり得えます。これは、法律問題と言うよりご主人がどちらの支払を優先させるかという気持の問題と言えます。養育費の支払いが滞ったり、約束より減らされた場合には、調停や判決などで養育費が取り決められている場合であれば、財産の差押えなどの強制執行をして取り立てることになります(なお、家庭裁判所の調停や審判で養育費が定められた場合には、家庭裁判所に履行勧告や履行命令などを求めることが出来ます)。一方、離婚時に約束したわけではなく、事実上支払ってもらっていた場合ならば、まず、養育費請求の調停や裁判で養育費請求権を確定させてから、強制執行等ということになります。ここで、問題なのが、養育費が調停などで確定していない場合、元のご主人の債務もその金額決定の際に考慮される可能性があるということです。例えば、元のご主人が会社と示談をして月々横領した金額を返済する義務を負ったなどの場合、元のご主人の収入からその返済も考慮して養育費が決定される(小さいですが)可能性があるわけです。養育費は、お子さんの将来にかかわる大切な問題です。一度、弁護士会の法律相談などを利用して専門家に相談されることをおすすめします。また、養育費関係については本データベースに関連する記事がありますので、「養育費」などのキーワードで検索しご参考いただければ幸いです。

 執筆日20010825