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夫婦生活・離婚・養育費

配偶者の過度の宗教活動と離婚の可否

 夫が反社会性の強い新興宗教に入信して熱心に信仰するようになり、怪しげなセミナーに足繁く通うようになり、私にも入信を勧めます。私は何度もやめるよう説得しましたが、それを聞き入れずしまいには、出家すると言い残して一方的に家出をしました。現在では私は夫に愛想をつかし、離婚したいと思っています。離婚は可能でしょうか。

 夫の出家が、悪意の遺棄にあたり、あるいは、夫の不相当な宗教活動自体が夫婦間の扶助協力義務に反するとも考えられ、離婚は可能と思われます。もとより夫婦といえどもそれぞれ独立の人格ですから、基本的にはいかなる信仰をもつかという点は個人の自由にあたります。ですが、夫婦である以上、夫婦生活を台無しにして信仰にのめり込むことまでも自由なわけではなく、やはり、夫婦として円満な生活を送ることができるような配慮をもって信仰すべきです。配偶者が信仰にはまり、他方を省みず一方的に出家したとすれば、やはり、その活動は信仰としては限度を超えているものといえ、残された配偶者にとっては悪意で遺棄された(民法770条1項2号)ということにもなるのではないでしょうか。また、そのような過度な宗教活動は、極めて一方的なものですから、夫婦の生活扶助、協力義務に反しているという見方も可能であり、それが原因で、夫婦生活が破綻したならば、婚姻を継続し難い重大な事情がある(同5号)といわざるを得ないと思われます。あなたの場合も、夫の信仰が反社会性の強い宗教であり、またあなたの制止もきかずに信仰にのめり込み、挙げ句の果てには一方的に出家したというのですから、上記のいずれの要件も満たすものと思われ、離婚請求は認められると思われます。

 執筆日20000830