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夫婦生活・離婚・養育費

退職金、年金が財産分与の対象となるか。

 離婚に際し、夫の退職金や年金は財産分与の対象になりますか?

 まず退職金を財産分与の対象にできるかという点について、判例は、退職金が既に受給されているかどうかでまず区別しています。つまり、既に支給されている夫の退職金については、夫婦の協力により築き上げた財産であるとして、財産分与の対象にしています。しかし、いまだ支払われていない将来の退職金については、将来の所得であり、夫が懲戒解雇されるなどすれば退職金は支払われないことにもなるなどの理由で、財産分与の対象にはならないのが原則です。ただ、退職時期が間近であるなどの場合に退職金を分与額の算定において考慮したり、退職金の一部を妻側に分与したケースもあります。次に夫の受給すべき年金は、もともと受給者である夫の生活保障の観点から支給されるものであり、これを奪ってしまうと夫の生活に支障が生じます。ですから、これは財産の清算の対象というより、相手の離婚後の扶養の問題として把握されることが多いようです。この点年金受給額の内、夫の厚生年金と妻の国民年金の差額について分与の対象としたケースがあります。但し、離婚時に支給されていない年金については、財産分与の対象とならないとするのが一般的です(それを肯定した裁判例もあります(東京地判昭和59年12月26日))。

 執筆日20000830