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夫婦生活・離婚・養育費

財産分与と税金

 離婚に際して、財産分与した場合に税金はかかりますか。

 それが金銭の給付であれば原則非課税ですが、不動産等の財産の移転の場合は、分与する者には譲渡所得税が、分与を受ける者には不動産取得税が課税される場合があります。まず離婚における分与財産については、贈与税はかかかりません。ですが、その分与額が財産分与としては不相当に大きい場合の適正額との差額や、脱税目的で偽装の財産分与を行ったような場合の全額が、贈与税の対象となります。不動産などの資産を譲渡した場合、分与者については課税所得分について譲渡所得税が発生します。この点につき、判例は、譲渡所得に対する課税は、必ずしも当該資産の譲渡が有償である場合に限らないとし、離婚の際の財産分与においては、分与すべき義務のある者は分与対象となる不動産などの財産を分与することによって、分与義務が消滅するという経済的利益があるというのです(最判昭和50年5月27日)。ただ、分与財産が個人の居住用不動産であれば、その譲渡所得について一定額の特別控除などの措置もあります。次に、不動産等の分与を受ける者が、不動産取得税を支払う必要があるかという問題があります。この点、下級審の裁判例では財産分与の性質によって分けて考えており、それが単なる夫婦財産の清算であれば、非課税ですが、慰藉料支払いや離婚後の扶養の意味での財産分与であれば、課税されるという扱いがなされていました。ですが、最高裁は不動産取得税における「不動産の取得」とは、所有権移転の形式により不動産を所得するすべての場合をいうと判断し(最判昭和53年4月11日)、夫婦財産の清算の場合にも、不動産取得税が課税されることが明らかになりました。ただし、現在の課税上の扱いでは、取得する不動産(婚姻後購入分)の半分については、名義にかかわらずもとから他方の配偶者の所有物であると評価しているようです。したがって、分与を受ける不動産が半分以上の持ち分の場合には、原則として半分を超える部分にのみ不動産取得税を課税する扱いになります。

 執筆日20000830