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夫婦生活・離婚・養育費

養育費請求権の時効は?

 調停離婚をして、養育費として毎月3万円を送金してもらうはずでしたが、いままで一度も振り込まれません。遡って請求したいのですが、養育費請求権は何年で時効になるのでしょうか。

 養育費とは文字通り子供の養育監護に必要な費用のことで、親であれば、未成年の子供を実際に監護している他の親に対して、その監護費用を分担する義務があります。
 この養育費は、過去の分についても、請求ができるとされています。過ぎ去った過去はもう実際に生活が成り立っていたのだから後からそれを請求するのはおかしい、という考えもあるかと思います。しかし、扶養義務を怠ったものを一方的に利するのは公平に欠けるため過去の費用も請求できることとされています。
 ではこの養育費の分担義務が時効によって消滅するのはいつでしょうか。まず上述の通り親である限り養育費分担義務が免除されることはありません。従ってそれが時効で消滅するということもありません。故に子供が未成年であって監護が必要である限り、養育義務がなくなることはありません。
 しかし、過去において実際に支払うべきであった月々の養育費については、実際に支払っていた側がその費用を肩代わりしていたと考えられますので、その肩代わりしていた費用を求償する、という債権が成立していると思われます。そしてその債権は調停調書に基づいて発生したものであることから、それぞれの毎月の支払い期日から10年で消滅すると考えられます。つまり、現在離婚して10年を越えており、調停が成立して最初の支払い期日が到来してから10年が経過しているのであれば、その経過した分については、相手方の消滅時効の成立の主張が認められることになります。つまり、現在から遡って10年間分は請求できますがそれ以前の分は時効消滅しているということです。
 もっとも時効は相手がそれを「援用」して初めて消滅することになります。援用しない間に相手が支払いの猶予を申し出てきた、など、債務を承認したという事情があれば、その承認の事実で時効は中断されます。
 なお、こちらから単に請求書を送るだけでも時効は中断しますが、半年以内に裁判などの手続きを取る必要がありますから、ご注意下さい。
 また、調停にて成立したものですから、その調停調書をもとに強制執行が出来るはずですから、裁判所に申し立てるのも一つの方法です。

 執筆日20041006