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個人の自己破産・借金整理

個人の民事再生手続と破産との違い

 個人の民事再生手続は破産とどこが違うのか。

 従来、個人が債務超過に陥った場合は、自己破産(自己申し立てによる破産)手続きによって更生していくことしか出来ませんでした。破産すると破産手続開始時点での財産全てがその開始時に負担している債務の弁済に充てられることになり、個人の場合は殆ど何も手元には残らないことになります。その代わり破産免責の決定を得れば、債務が完済できなくても借金は全て消えてなくなることになります。従って、破産免責後、破産者が働いて給与を得ることができるような状況であれば、個人の更生が容易に図りうることになります。但し、破産免責は、破産犯罪を犯した、前に免責を得てからまだ7年が経過していない等の場合は免責が受けられないため、破産手続開始後も借金は丸々残ってしまうということも起こります。このような破産制度だけでは、個人の更生にとって手段として不十分ではないか、また債権者にも酷ではないか、という点を考慮し、平成12年11月に民事再生法が改正され、個人再生手続きというものが加わりました。民事再生法は、破産のようにそれ以前の債務を全てゼロクリアするというのではなく、また全財産を弁済にまわすことも必要ではありません。債務者は、裁判所の定めた再生計画に基づき、従来持っていた財産及び今後得るであろう収入から、計画的に債務の一定割合を分割して弁済していくことになります。従って、例えば、従来の所有建物に住みながら更生を図ることも(場合によっては)可能だということになります。これは、会社における従来の「会社更生」と「破産」の関係をイメージして頂ければ解り易いでしょう。この破産と民事再生のどちらの手続きをとることも自由とされています。従って、将来高い給与が見込まれるにも拘わらず、破産免責を得て借金をゼロクリアし、その後の収入で優雅に暮らすなどということも可能です。民事再生手続きをするには一定の要件が必要ですから、依然として個人の場合は破産手続きの方が多く利用されています。破産手続開始決定がなされても、士業(弁護士、会計士、行政書士など)に(免責を受けなければ)なれない、10年くらいはローンを組めずカードも持てない、という法的デメリットがあるだけですから、土地建物を持っていないサラリーマンなどにとっては、一般論ではありますが、破産免責の方が、メリットがあると思われます。

 執筆日20041111