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個人の自己破産・借金整理

破産手続開始を受けた後に、家財道具を差押えられることがあるのか。

 破産手続開始を受けた後に、家財道具を差押えられることがあるのか。

 同時廃止となり破産手続開始と同時に破産手続が終了する場合、破産手続開始後破産者が免責決定を受けるまでの差押えは有効である、というのが現在の判例の立場です。同時廃止とならず、破産管財人が選任される場合には、このような差押えはできません。破産申立がなされたが、破産者に破産手続の費用すらない場合には、破産手続開始と同時に破産手続を終了させる破産廃止決定がなされます。これを同時廃止といいます。そして、破産手続開始の後、免責決定が出れば、支払責任が免除されるので、これ以降は差押えを受けることはありません。しかし、破産手続開始から免責決定まではある程度時間がかかりますから、破産手続開始後、免責決定が出るまでのあいだに、破産者の財産を差押えることができるかが問題となります。この点については、学説の対立があるところですが、最高裁判例によるとこのような差押えも有効とされています。この判決については、批判も多いところなのですが、実務上は、免責決定までの期間をなるべく短くして、債権者による個別の執行を防いでいます。これに対して、債務者に破産手続を償うに足りる財産がある場合には、破産手続開始と同時に破産管財人が選出され、債権者は個別に権利を行使することはできなくなります。ですから、この場合には、破産手続開始後に家財道具が差押えられることはありません。

 執筆日20001109