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法人破産・再生・債務整理

債権者の経営陣に対する責任追及

 民事再生手続では、経営陣がそのまま経営を続けると聞きました。彼らが経営危機を招いたのにとも思います。民事再生法で、経営者の責任に関する特別な規定はないのですか。

 法人の経営陣に対する損害賠償権の査定制度(民事再生法143条)と、法人の役員の財産に対する保全処分(同法142条)があります。会社の経営をおこなってきた経営陣に、背任や不正行為があった場合には、彼ら役員に対する損害賠償請求権が発生しますが、再生手続開始決定があった場合には、裁判所は、役員の責任に基づく損害賠償請求権の存否およびその金額を査定することができます(同法143条)。再生債務者等は、この損害賠償請求権の査定を裁判所に対して求める申立をすることができます。また、再生手続において管財人が選任されていない場合には、再生債権者も同様に査定請求の申立をすることができます。また、裁判所は、再生手続開始決定があった場合に、役員の責任に基づく損害賠償請求権について、役員の財産に対する保全処分(仮差押や仮処分)をおこなうことができます(同法142条1項)。この保全処分は、緊急の場合には手続開始決定前でも行われます(同法142条2項)。管財人または保全管理人が選任されていない場合には、再生債権者からの申立によっても、おこなうことが出来ます(同法142条3項)。このように、経営陣がそのまま経営を続ける制度であるからといって、決して経営陣に対する責任追求を放棄しているわけではないのです。むしろ、従来の法制よりも一歩踏み込んだ形の制度が定められているといえるでしょう。

 執筆日20010221