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法人破産・再生・債務整理

開始決定までに行われる保全処分

 民事再生を申し立てた場合、開始決定がされるまでには、どのくらいかかるのでしょうか。

 申立から裁判所が手続開始決定をするまでは、通常1ヶ月程度といわれています。この間は、この先再生手続が進行し会社が再建の道をたどるのか、それとも破産のような事態になるのか、不透明な期間といえるでしょう。ですから、会社の従業員や取引先に不安がひろがり、思わぬ事態となりかねないことから、保全処分という手続が取られます。まず、裁判所は、更生手続開始の申立があった場合に、それに関する決定があるまでの間、再生債務者の業務及び財産に関して仮差押え、仮処分その他の必要な保全処分を命じることができます(民事再生法30条1項)。また、裁判所は、監督命令(同法54条1項:監督委員による監督を命ずる)、保全管理命令(同法79条1項:開始決定までの間、再生債務者の業務及び財産について保全管理人に管理を命ずる)を発して、債務者の債務の弁済・資産の処分などに、裁判所の管理が及ぶようにしています。さらに、裁判所は、再生債務者に関する破産手続、あるいは債権者による強制執行・仮差押や仮処分、債務者の財産関係の訴訟を、決定があるまでの間、中止させることができます(同法26条1項:中止命令)。もし、裁判所が中止命令よっては再生手続の目的を充分に達成することができないおそれがあると認めるべき特別の事情があると判断したときには、決定があるまでの間、すべての債権者に対して、債務者の財産に対する強制執行等を禁止することができます(同法27条:包括禁止命令)。ただし、包括禁止命令を出すためには、事前あるいは同時に、民事再生法30条1項による保全処分か、監督命令あるいは保全管理命令がなされる場合に限られます(同法27条但書)。この包括禁止命令は、従来の制度にはない新しいものといえます。

 執筆日20010221