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法人破産・再生・債務整理

会社倒産後管財人の指示に基づいて支出した必要費は請求できますか?

 会社が倒産し、管財人の指示により会社にある商品を倉庫に移し変えるため壊れていた会社所有の車を自費修理しました。この修理代は会社債権者に優先して払ってもらえないのでしょうか。

 結論として、払ってもらえる可能性は十分にあります。破産管財人が破産手続を遂行するために支出した費用は、全ての債権者にとって有益な費用として、最優先に弁済されます。破産した会社に対する債権者の債権を破産債権と呼ぶのに対して、このような管財業務についての債権を財団債権と呼びます。財団債権は破産債権と全く別個の扱いを受けます。この事例では、破産会社の資産である壊れていた車を修理して使えるようになったのですから、破産財団の資産価値も上がったものとも思えます。ただ問題は、その修理費が相当なものであるのかどうかにもよりますし、管財人が指示をするに際してその修理を念頭に置いていない場合には紛糾する可能性があります。このようなときには、通常管財人は、商品の移動にどのくらいの費用がかかるか予め検討した上で、具体的に関係者に指示を出します。管財人の指示がある車両を用いて運送することを指示しているにもかかわらず、あえて委託を受けた人間が別の車を高額な費用で修理して使用したというような場合でなければ、破産管財人はあまり支払いには抵抗しないと思います。破産管財人に速やかに連絡を取り、この費用を請求してみてください。仮に破産管財人が了解しない場合には、破産手続開始決定をした裁判所に連絡を取り、事情を説明してみてください。なお、破産管財人が現実に金銭で支払いをする場合、破産管財人個人の費用で立て替えて支払い、のちに破産財団の費用から取り戻すという場合と、予めその費用を用いることについて裁判所の許可を得て破産財団から直接支払う場合とが考えられます。最終的にはその支出について裁判所の許可が必要となるため、一般的には後者の方法によります。

 執筆日20011203