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交際・婚約・内縁

内縁状態の妻に他の男ができ、婚約を破棄された。

 3年間内縁状態が続いた妻がおり、来年結婚する予定でしたが、他に好きな男ができたとのことで婚約を破棄されました。誰かに慰謝料を請求できますか。

 まず、内縁関係にあると言えるのかどうかが問題となります。内縁とは、婚姻意思をもって夫婦共同生活を行い、社会的には夫婦と認められているにも拘わらず法律上の婚姻届を出していないために法律上の夫婦とは認められない事実上の夫婦関係を言います。つまり実態は法律上の婚姻となんら変わらないものであって届だけを出していない、というものを言います。単なる同棲や結婚の約束では内縁とはならず、結婚式のようなものを挙げたとか親類に妻として紹介したなどという社会的な認知度の有無、日常妻として振舞っているか、などが判断材料とされます。質問の内容だけではどちらとも判断できませんので、内縁の場合とそうではない場合について分けて回答致します。
1)妻への請求
 内縁である場合には、実態は婚姻と何ら変わらないものであることから、内縁解消の場合の慰謝料や財産分与の額は、ほぼ法律上の婚姻と同じと考えて良いでしょう。慰謝料の額は、内縁期間、不当の程度、苦痛、財産状態、生活状態、職業地位、年齢などを総合的に考慮して決められますので明確な金額はお答え出来ませんが、内縁期間が3年以上5年未満の場合平均で240万円という統計がありますので参考にして下さい。
 内縁ではない場合には、このケースは婚約の不当破棄に該当します。婚約は、単なる同棲では成立しませんが、結納などがなくとも二人がまじめにはっきりと結婚の意思を確認し合えば成立します。婚約の不当破棄の場合の損害賠償額は、婚約に至るまでの事情、婚約後の事情、婚約破棄の原因、破棄後の生活事情、婚姻を信じたために支出した費用や失った収入等が考慮されます。具体的な金額は、裁判例では50万円から200万円の間が多いようです。
2)不倫相手への請求
 次に、奥さんが好きになってしまった相手への損害賠償請求が考えられます。その請求が認められるためには、その相手が、奥さんとあなたが内縁の関係にあること(又は婚約中であること)を認識していて、且つ悪意、害意をもって奥さんを誘ったなどを立証する必要があります。法律上の婚姻であれば立証は容易になるでしょうが、届がされていない内縁、更には当事者の意思の合致だけの婚約という順に立証は難しくなり、認められる慰謝料も少なくなります。通常の婚姻関係にある場合は、200~300万円が相場です。

執筆日20031211