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夫婦生活・離婚・養育費

養育費の支払い義務は時効消滅しますか?

 子供が成人に達するまで養育費を支払う条件で、離婚が成立しました。最初の3年間は支払っていたのですが、諸般の事情で払えなくなり、相手方の請求もなかったので、10年間そのまま支払わずにいました。最近相手方から未払い養育費の支払を請求されました、支払わなければならないのでしょうか?

 養育費を月々**円支払うという約束をしたということなのでしょう。決めた時点では将来の債権ですから、その支払時期がそれぞれ到来してから時効期間が起算となります。したがって、支払を止めてしまった時から時効期間が経過したとしても、今後の養育費が消滅するわけではありませんし、支払日から時効期間が経過していない分についても時効にかかっていないと考えられます(ただし、遅滞の場合に分割払いの利益を失い、一括して支払うなどの約束があれば別に考える余地がありますが、養育費についてそのような約定をすることはまれでしょう)。また、時効期間の経過したものであっても、相手方が困窮により費用が工面できなかったなどの事情で、貴方の方にも財産隠しなどの背信的な事情があれば、時効期間の経過したものについても、時効の援用が権利濫用となるとの裁判例もあります。以上、離婚時に養育費の取り決めがきちんとなされて、債権として確定していたことを前提として回答しましたが、そうでない場合、養育費は将来の生活の扶助を求めるもので、そもそも、過去の扶養料を請求することができるかなども問題になりえます。また、時効について言えば、離婚時の取り決めで期限の利益喪失約款があったかも一応問題になりそうです。具体的事情を弁護士会の法律相談などを利用して相談されることをおすすめします。

 執筆日20011113