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夫婦生活・離婚・養育費

精神状態が不安定なときに書いた離婚届

 精神状態が不安定なときに書いた離婚届。役所に提出してしまったが、離婚を取り消すことはできるのか。

 離婚が成立するためには、離婚届に署名捺印し、役所に届け出る時点で「離婚する意思」が当事者双方に存在していることが必要です。つまり、「離婚意思」がきちんと存在していることが必要なわけです。もし離婚に際して、詐欺があったり又は強迫がなされたりしたのであれば、それは「瑕疵ある離婚の意思表示」となり、離婚を取り消すことが出来るとされています(民法764条、民法747条)。さらに、法律的な意思を表示する場合、一般的に、意思能力というものが必要であると解されています。たとえば、成年被後見人(以前の禁治産者)などは、「精神上の障害により事理を弁識する能力を欠く常況にある者」について、成年被後見人という宣告がなされることになっています(民法7条)が、事理を弁識する能力に欠けている時点での意思表示は、たとえ成年被後見人の宣告がなされていなくても、無効となります。例えば、泥酔して前後不覚に陥っていたような時に、契約したり結婚の合意をしても効力がありません。このような意思能力がない場合にはたとえ離婚届や婚姻届が役所に提出されたとしても無効です。では、ご質問のような「精神状態が不安定な時に書いた」離婚届はどのように考えたらよいでしょうか。まず、上述の通り、意思表示が無効になるのは、意思能力が欠けている場合ですから、精神状態が不安定だからといって意思表示が無効になるとは、通常考えにくいと思います。ただ、錯乱状態にあったような場合には意思能力がないと認定されることもあると思われます。次に、届出を出した時点で、離婚をする意思がなくなっていたような場合は、最初に述べたように届出時点でも必要とされる離婚意思が既に無くなっていると考えられますので、離婚は無効であると解される余地があります。しかし、離婚意思がなくなっていたことを立証することは極めて難しいでしょう。それにもし離婚意思がなくなっていたのであれば、離婚届提出前に役所に対して離婚届不受理申し立てをしておくことによって離婚届提出の効果が生じないようにすることが出来ます。そのような不受理申し立てをしなかったのですから、一層離婚意思がなかったことの立証は難しいものと思われます。ただ、日本の婚姻制度の考え方や裁判所、調停委員の考え方から言って、問題が起きた場合には婚姻を維持する方向で進むことが多いようです。従って、あきらめる前に調停委員にその旨を申し立ててみるべきでしょう。

 執筆日20050118