- 正当な理由のある別居と離婚の可否
結婚して10年になりますが、夫は結婚当初から働かずに借金を重ね、ことあるごとに私に暴力を振るうので、ほとほと愛想がつき、家出をして別居しています。この場合私から離婚の請求ができますか。 あなたのような場合離婚の請求は認められます。本来夫婦は同居し、互いに扶助協力すべき義務があります(民法752条)。ですから、一方の配偶者が他方の配偶者を捨てて別居に走ったような場合は、通常、悪意で遺棄したということになり、これは離婚原因となります(民法770条1項3号)。ですが、別居をしたことに正当の理由があるときは、他方配偶者を悪意で遺棄したことにはなりません。たとえば、合意に基づく職業上の単身赴任であるとか、病気療養のための入院などのほかに、配偶者の暴行や虐待、不貞などの有責行為のために、同居に耐えられなくなった他方の配偶者が家出をした様な場合にも、別居についての正当な理由があることになります。あなたの場合も、夫が無為徒食の生活を行い、あなたに暴力を加えるなどしており、夫婦関係が回復できないほど破綻していれば、ご主人との別居には正当な理由があり、悪意の遺棄にはなりませんので、離婚請求は認められます。
執筆日20000830