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夫婦生活・離婚・養育費

夫の不貞行為が原因で離婚しました。慰謝料を請求したいが、夫が破産してしまいそう。

 夫の不貞行為が原因で離婚しました。慰謝料を請求したいのですが、夫は多額の借金をかかえており、いつ破産してしまうかわかりません。もし破産免責された場合、慰謝料はもらえなくなってしまうのでしょうか。

 最高裁判所の判例によれば,配偶者の不貞行為は民法709条の「不法行為」に該当するとされています。さて,破産者が免責されればほとんどの責任(債務)を免れるのですが,破産法第253条には「破産者が免責されたとしても,『悪意をもって加えた不法行為による損害賠償』請求は免責されない」と規定されています。不貞行為は明らかに「悪意をもって加えた不法行為」ですから,法律的には慰謝料を支払う義務はなくなりません。しかし,現実に「慰謝料が取れるか」と考えると,破産者にはめぼしい財産がないわけですから,かなり難しいと思います。相手が破産するより前に慰謝料を支払わせるのが一番です。そのためには,まず慰謝料の金額を確定させ,確定した慰謝料のうち可能な限り多くの金額を支払わせるのがよいでしょう。加えて,支払を怠るときに備えて,協議事項を公正証書にしておくのが上策です。そうすれば,相手が支払わなくなったときに訴訟を起こすことなくいきなり強制執行ができます。慰謝料に関する交渉が感情的に困難ならば,専門家に相談してみてください。慰謝料請求書の作成など具体的に手助けしてくれます。

 執筆日20041028