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夫婦生活・離婚・養育費

離婚慰藉料額の基準

 離婚の慰藉料額の基準について教えてください。

 離婚の慰藉料も不法行為による損害賠償請求の問題であることは、他の場合とかわりありません。そして、その性格としては離婚原因となった相手方の行為の個別的な不法性による精神的苦痛に対する賠償と、離婚そのものによる精神的苦痛に対する賠償との二つがあり、それを総合考慮する必要があります。ただ、離婚慰藉料の具体的な金額については、客観的な算定基準について確立されたものがありません。というのは、婚姻生活においては長期間にわたり複雑な関係を形成しており、それにともない、離婚に伴う精神的苦痛の賠償額の算定も考慮すべき要素が多数に上ってしまうからです。ですから、離婚の際に必ずいくらの慰藉料がとれるということはなく、婚姻生活における様々な要素を総合考慮して、その金額を決することになります。その場合、慰藉料算定にあたって考慮すべき基本的要素は次の通りになります。第一に、相手方の行為の有責性、違法性の内容程度です。不貞、暴行、虐待、遺棄(不当な別居)、生活費の不払い、飲酒ぐせの悪さ、そして、その期間、程度、回数が問題になります。第二に夫婦の婚姻期間です。この期間が長期になればなるほど、金額が高額になる傾向があります。これは婚姻に期間が長期になればなるほど、離婚による精神的苦痛が大きく、また、離婚原因になった相手方の行為自体も長期間に及んでいるといえ、それを耐え続けたことによる精神的苦痛も堆積していると考えられるからです。第三に相手方の資産、収入などがあります。この点も、実務上極めて重視されています。離婚慰藉料には夫婦生活から生じたものですから、その夫婦生活の実態を反映したものにするという意味があるものと思われます。以上の点に加え、婚姻にいたる経緯、年齢、財産分与の有無などを合わせ考えることにより、具体的金額が算定されています。

 執筆日20000830