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個人の自己破産・借金整理

破産手続開始決定・免責後に債権者が判明した。

 1年ほど前に破産手続開始決定・免責を受けましたが、ある債権者が破産手続きから漏れてしまい、最近、その債権者から訴えられました。私の名義で借りている家には息子夫婦が住んでおり、そこにある家財道具も息子夫婦が揃えた物ですが、その家の物を競売にかけると言われました。本当に競売されてしまうのですか。

 破産手続開始決定がされ、且つ免責決定がされると、破産債権者に対する債務負担を免れることになります。この効果は、原則として全ての債権者に対して効力を持ちます。従って債権の届出をしなかった債権者に対しても原則として破産免責の効果が及ぶことになります。しかし、破産者が債権者名簿に故意に掲載しなかった債権であって且つその債権者が破産手続きの行われたことを知らなかった場合には、その債務について免責の効果は及びません。この「債権者名簿に故意に掲載しなかった」ということが過失を含むのか、という点が問題です。これについて地裁の判例では「債権者名簿にその債権を記載することを失念したことに過失が認められる場合」はその債権には免責の効果は及ばないとされています。従って、あなたがその債権を名簿に記載することを忘れてしまったのであれば、免責の効果が及ばないと判断される余地があると言えます。ただ忘れたことに仕方のない理由がある場合には過失がないと判断されることもあり、ケースによって微妙ですので、最初からあきらめる必要はないと思います。仮に、この債権者には免責の効果が及ばなかった場合、この債権者との関係では何ら免責されていませんから、債務を弁済しなければなりません。債権者としては当然差し押さえをして競売をすることが出来ます。しかし、差し押さえることができるのは、あくまでも、債務者の財産に限ります。場合によっては法人格が否認され法人の債務について代表者の財産への追求がなされる場合などがありますが、ご質問のようにあなた名義で借りている家であっても、そこにあるのがあくまでも息子さんご夫婦の財産であれば、差し押えられたり競売にかけることはできません。もし差押えが裁判所に許可され差し押えが執行されたとしても、息子さんは、第三者異議の申し立てを行って強制執行を回避できます。ただ注意して頂きたいのは、その家財があなたが息子さんに贈与したものであったり、お金を与えて買わせたりしたものであれば、場合によっては民法424条の詐害行為として取消の対象となったり、破産手続上の否認の対象になる場合もあることを付言致します。

 執筆日20031104