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個人の自己破産・借金整理

破産者には職業の制限があると聞きました。

 破産者には職業の制限があると聞きました。生命保険の募集人の資格は取れないのでしょうか。

 破産者で復権を得ない者は、法律の規定により登録等を拒否される場合があります。
 例えば資格の最高峰といわれる弁護士については、弁護士法第7条第5号に弁護士の欠格事由として「破産者であって復権を得ない者」が挙げられています。
 そこで、ご質問の生命保険の募集人の資格についてですが、保険業法第279条第1項第1号に登録拒否事由として、「破産者で復権を得ないもの又は外国の法令上これと同様に取り扱われている者」と規定されており、破産者で復権を得てない人は保険募集人の登録を拒否されることになります。
 それでは、破産者には絶対に保険募集人になるチャンスはないのでしょうか。この場合、「破産者で復権を得ていない者」という箇所がポイントになります。
 破産法第2条(定義)第1項によれば、「破産者とは、債務者であって、第30条第1項の規定により破産手続開始の決定がされているものをいう。」とあります。また、同法第255条第1項によれば「破産者は、次に掲げる事由のいずれかに該当する場合には復権する。」とあり、免責許可の決定、破産手続廃止の決定、再生計画認可の決定等がありますが、「免責許可の決定が確定したとき」が重要です。
 免責許可の決定とは、債務者が破産法第248条の規定に基づいて破産裁判所に対して免責許可の申立を行い(債権者に対する債務の弁済を免除するもの)、この申立を認めて破産裁判所が免責許可を決定することです。
 以上を要約すると、債務者が破産裁判所に破産手続開始を申し立て、破産裁判所が破産手続開始を決定すると、債務者は破産者となります。しかし、破産者が破産手続の中で破産裁判所に免責許可を申立て、これが認められて免責許可が決定したときには「破産者は復権を得る」こととなるのです。
 破産者が免責許可の決定を受けて復権を得れば、保険業法第279条の登録拒否の事由には該当しなくなり、保険募集人に登録が可能となります。
 ただし、免責許可の決定には要件があり、例えば「浪費又は賭博その他の射幸行為をしたことによって著しく財産を減少させ、又は過大な債務を負担した」ときには、免責許可の決定はされないので注意を要します。

 執筆日20080901