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法人破産・再生・債務整理

債権者集会

 取引先に破産手続開始決定がなされ、破産債権届出書を裁判所に提出いたしましたが、所用で第1回債権者集会に出席することができません。債権者集会に出席しなかった場合、債権者として何か不利益がありますか。また債権者集会ではどのようなことが行われるのでしょうか。

 破産手続きは、債権者に公平かつ平等に経済的な満足を与えることを目的としているため、債権者の意思を尊重し、ある程度の範囲内で自治権を認めています。そのため、債権者の意思を反映させるために債権者集会の制度を設けています。第1回債権者集会は、破産手続開始後に開催される最初の債権者集会であって、破産管財人より、破産に至った経緯、破産財団状況、現時点までにおける管財人の業務報告、今後の管財人業務の見込みについて報告がなされるとともに、破産法により次の4点について決議することとなっています。1.破産者に対し、扶助料を給付すべきか否かの決議(破産者が自然人の場合についてのみ決議)。破産者の生活のために一定の扶助料を給付するか否かの決議ですが、実務上はほとんど給付されていません。2.営業の廃止または継続の決議。破産者の営業を廃止するか、継続するかの決議ですが、一般的には廃止となります。ただし、営業を継続することが債権者にとって有益である場合は、例外的に営業継続することがあります。3.高価品の保管方法の指定。管財人が換価した現金等を保管する方法と場所を決めますが、通常、破産管財人名義の銀行預金口座が開設されます。4.監査委員の設置。実務上は、監査委員が設置されると、管財人の業務遂行について監査委員の同意が必要となり、迅速な管財業務が阻害される恐れがあることや、監査委員の報酬を財団が負担しなければならないため配当原資が減少してしまう等のことや、破産裁判所が管財人を監督する機能を有していることから、監査委員を設置しないケースがほとんどです。したがって、第1回債権者集会に出席しなかった場合、管財人の報告を直接受けることができず、決議に参加することもできませんが、経済的観点からは特段の不利益は生じません。なお、破産手続きは訴訟手続きではありませんので、債権者集会には弁護士以外の代理人による出席が認められております。代理人による出席の場合は、集会当日委任状を持参する必要があります。

 執筆日20000830